第2章 おかえり。
はしゃぐ蘭と蓮を真琴たちは、微笑ましくみつめていた。
真琴「…本当、二人とも嬉しそう…。悠のおかげだね。」
眉を下げにっこりと微笑みかけてくれる真琴。
(あ………私、この笑顔大好き…)
トクトクと速まる鼓動を感じながら、悠は真琴に笑みを返した。
遙はそんな二人の様子を疎ましげに見つめる。
遙「…………」
ふいに伸ばされた手は、悠の白く細い腕に辿り着く。
彼女の熱が手のひらに伝わり、悠が自分の手の届くところにいたことに安堵する遙。
掴まれたほうの悠は、不思議そうに首をかしげて遙を見ていた。
「ハルくん……?」
遙「……何でもない。」
自らの行動を振り返り、気まずさを覚えた遙はフィと横を向いた。
真琴母「さっ!いつまでも玄関にいないで、中に入って?」
真琴母の言葉により、悠たちは今へと進む。
その後は夕食の時間まで蓮や蘭とともにTVゲームをして遊んでいた。そこで見せた遙の負けず嫌いっぷりに悠は楽しそうに笑い、その姿を見た真琴は胸を熱くしていた。
真琴(悠楽しそう……あんな笑顔がこれから毎日見れるなんて……あぁ、それだけでも幸せすぎる…///)
ぼーっと悠を見つめていた真琴の背中にノシッと重みが加わった。
蓮「お兄ちゃんっ!よそ見しちゃダメだよ!負けちゃうよー!」
真琴は再びTV画面へと視線を戻し、気合いを入れ直す。
口許には笑みを残して。
真琴「よっし!もう、ハルには負けないよ!」
遙「……やめとけ。やるだけ無駄だ。」
真琴「ハルのほうこそ、油断してると知らないよ~?」
「頑張れ二人とも~♪」
彼らの間にちょこんと座り、コロコロと楽しげに笑う悠の膝には蘭が座っていて、それをずるいずるいと蓮が押し入ろうとしていた。
ただゲームをして過ごしているだけなのに、何故こんなにも楽しいのだろう。
以前はあって当たり前だった存在。
昨日までは此処にいなかった存在。
ただ、この人がいるというだけでこんなにも日常が幸せに満ちるのか。
そう思わずにはいられないほど、遙と真琴は今この時を幸せに感じていた。