第11章 作成中
「着いたぞ」
バイクが停まり、マンションに着いたことは自分でも確認して分かる。
分かってるんだけど・・・
「・・・動けない」
ずっと力が入っていたからか、安心した途端、身体に力が入らない上に気持ちの悪さが押し寄せる。未だに功平にもたれかかり、腹部に腕を回したままの状態。
「やっぱ途中で休憩すればよかったな・・・ごめんな」
「・・・んーん、私がいいって言ったんだし」
走行中、何度も私のことを気にかけてくれていた功平に何処かで休憩しようと提案されたのだけれど、私はどうせすぐ着くからと断った。今となれば後悔しかない。
私が全体重を預けている為、彼はそのまま動けないでいる。
その時
「・・・・・・とも?」
私達のすぐ側で聞こえる声。
それが私の母親であることに気づいたのは、勿論私だけではない。預けた身体に伝わる、彼が微かに硬直した感覚。
「、こんばんは!あの、ともみさんのお母さん・・・ですか?」
「そうですけど・・・あの・・・?」
「初めまして、ともみさんの友人の笹倉功平と申します。こんな状態のまますみません。・・・あの、今ちょっとともみさんの体調が・・・」
「・・・酔っただけだよ。・・・ママ、肩貸して」
私がぐったりしていることに気づいた母が慌てて功平と共に私をバイクから降ろす。そしてすぐにバイクから降りた功平が、母に会釈をする。
状況を飲み込めない母は、明らかに功平を警戒している。
「あのね、帰りが遅くなるといけないからって送ってくれたの。電車で帰るって言ったんだけど、もう暗くて危ないからって。受験の面接練習もテスト勉強も面倒みてくれて、本当お世話になってるんだ」
激酔いの中、必死に母の警戒心をとこうと話す。心配性の母には、どれだけ功平が安心で安全かを伝える必要がある。特に今はそれが必要だな、と母の表情を見て瞬時に察知した。
「そうだったの・・・。ごめんなさいね、いつも迷惑かけて」
「い、いえ!全然そんなことないです!こちらこそ、ともみさんに色々助けて頂いてて・・・」
私の話と目の前の功平の対応を見て、母も大丈夫なんだと安心したよう。笑顔で功平に話しかけている。
ホッと胸を撫で下ろしたのは、私も功平も同じだった。