第11章 作成中
「うー・・・やっぱり外は寒いね」
「だから見送りはいいって言ったのに。早く家戻れよ、風邪引く」
「大丈夫!功平くんのこと見送ったらすぐ帰るから」
駐輪場まで功平を見送る為に一緒に出て来た。
「それにしても、いい家族だな」
「そう?」
「似てるよ、お母さんもともも衣奈ちゃんも」
そう言いながらヘルメットを被る功平。
「功平くん達もいい家族だよね。みんな優しいし、似てるよ」
「そ?」
「うん!」
そっか、と私の頭をポンポンと撫でる。
「お母さんも言ってたけど、いつでも来てね」
「うん、是非またお邪魔させて頂きます」
「時間遅くなっちゃったけど大丈夫?琇くん達心配してるかも・・・」
「大丈夫、俺男だし。一応連絡もしといたから」
「いつの間に連絡してたの?全然気づかなかった。でも、それならちょっと安心だね」
マンションの出口ギリギリまで一緒に歩く。
「そうだ。俺がお前ん家に寄ったこと、誰にも言うなよ」
「へ?何で?ていうか、秀くん達に連絡したんじゃなかった?」
「兄貴には、お前と駅で別れてから友達と会ってることにしてある」
「何でわざわざそんなこと・・・」
「兄貴ととも、俺に隠してることあるだろ」
そう言われてすぐに、エプロンの件を思い出した。
「あの、それは・・・」
「それと一緒。今回のことは、俺とともの秘密。な?」
家に来たことくらい言っても問題ないのに。とは思ったが、顔を覗き込まれてそう言われた私は、思わず頷いてしまった。
「よし。あ、もうここでいいから。見送りありがとうな」
「え、ダメだよ。お見送りはちゃんと見えなくなるまででしょ?」
「そんな決まりないだろ(笑)俺はもう十分だから」
「・・・やだ」
「やだって・・・あー、もう・・・」
溜息を吐く彼に、思わずビクッと肩が揺れる。
何でそんな我儘を言ってしまったのかと今更後悔していると
「・・・そういうこと、他の奴にも言ってんの?」
「え・・・そういうこと・・・?」
「・・・何でもない。じゃあ俺帰るから、俺が行ったらちゃんとすぐに帰れよ?」
言いたいことを噤んで、私の意見を優先させてくれた。
「うん、約束する。帰り着いたら連絡頂戴ね」
「分かった。じゃあ、おやすみ」
「おやすみ」