第8章 まさかの展開
修学旅行や友達の家へ泊まる時など、決まって一番に目が覚める私は、今回もモチロン誰よりも先に目が覚めた。
午前6時ちょい過ぎ。
いつの間にか私に寄り添うようにして眠っている陽太にキチンと布団を掛け、起こさないように部屋を出た。
「あ、とも、おはよう」
「あ・・・おはよう、琇さん」
顔を洗い、トイレで私服に着替え終わってリビングに戻ると、キッチンに立つ琇さんと鉢合わせた。
「早起きだね、ちゃんと寝れた?」
「うん、寝れたよ。琇さんも早起きだね?」
「あー、ゴミ出し(笑)」
「そうなんだ、私も一緒に行くよ!」
「へ?いやいや・・・」
家でゆっくりしてて、という琇を押し切り、結局ゴミ出しを一緒に手伝わせて貰った。
「ごめんね、結局手伝って貰っちゃったね」
「私が無理矢理させて貰ったんだもん」
「はは、ありがとう」
お礼に、と自動販売機で買ってくれたココアを飲みながら笹倉家に戻ると、陽太が起きてテレビを見ていた。
暫くして、私の分まで用意してくれた琇の朝ご飯を食べる為に、まだ起きて来ない2人を陽太と共に起こしに行くことに。
「・・・お邪魔、します」
陽太に誘導されてまず入ったのは、功平の部屋。陽太がドアを開けると同時に片目を開く彼は目覚めはいいらしい。私がいることを確認すると、一瞬目を見張ってサッと体を起こした。それが少しおかしくて、つい笑いが漏れる。
「ふふ、おはよ」
「こうにぃ、おはよー」
「・・・ん、はよ。メシ?」
「うん、めし!」
「分かった、すぐ行く」
功平の返事を聞くと、陽太はすぐに部屋を出て行った。
んー、と伸びをしている功平。初めて見る姿に笑ってしまいそうな顔を押さえて近寄る。
「・・・何、」
「ううん、何でもないよ」
「そんな顔して隠してるつもり?・・・何考えてんの?」
「んー、貴重なもの見れたなーって」
やっぱり寝起きを見られたのが恥ずかしいのか、うるせーと頭を掻く彼は、今まで見てきた彼の中で最もユルい。
何ていうか・・・ちょっと、可愛い(笑)。
「・・・次、悠のこと起こしに行くんだろ?」
「あ、うん」
「早く行かないと、今頃陽太半泣きかもな」
「・・・半泣き?」
「ま、行けば分かる」
ハテナを浮かべる私を、彼は例の部屋に連れて行ってくれた。