第8章 まさかの展開
「え・・・ちょ、」
「戸締り、ちゃんとした?」
「・・・したよ?」
「ならオッケー」
「何が!?」
グイグイと引っ張られるように歩いている私。年上だというのに情けない。そしてそのままの状態で辿り着いた先は・・・
「ただいまー」
「おー、おかえり。珍しく遅かっ・・・・・・え、?」
「こ、こんばんは・・・」
驚いた顔で私を呆然と見ているのは琇。そう、連れて来られたのは笹倉家。
「え、何、どうしたの?」
「今夜1人だって言うから連れてきた」
「1人?家に誰もいないってこと?」
「うん。ね?」
「あ、う、うん」
だからと言って何故ここに・・・?と思っているのは、どうやら琇も同じようで。それに気づかないはずない悠輔が一言。
「だから、ウチに泊まらせてもいい?」
「「は?」」
思わず琇とハモる。
「だって、こんな寒い夜に1人で川辺に歩いて来るような人だよ。危ないでしょ」
「そうなの?んー、それは確かに」
おーい、琇さん。それはどういう意味ですか。
でもなー、と琇が頭を悩ませていると、話が聞こえていたのか陽太が駆け寄ってきた。
「とも、おとまりするの?」
「し、しないよ!帰るよ!」
何故かワクワクしている陽太に、私は少し焦って否定した。
「えー、なんで?おとまりしようよー。ねぇ、しゅうにぃ〜!」
「そうだなぁ・・・」
「ねーえー!」
「・・・・・・うん、わかった。とも、今日はもう遅いし、1人は危ないから泊まっていって」
恐るべし陽太。琇は本当に心配してくれたようで、私を泊めた方が良いと判断したみたい。
「えぇ!?い、いやいやいや、何を・・・」
「でも、あくまでともが嫌でなかったらの話ね」
琇がそう言うと、更に悠輔と陽太の視線が私に向けられる。
(うっ・・・・・・こ、断れない・・・)
「で、でも私、パジャマも何も・・・」
「俺の貸す」
「明日学校・・・」
「明日、土曜日」
サラッと隣の悠輔が言い放つ。もう他に言葉が浮かばない。
「・・・・・・お邪魔します」
「わーい!おとまりおとまりー!」
「とも、ご飯食べた?」
「・・・まだ」
「じゃあ、まずはご飯!細かいことは後!」
そんなこんなで、何故だか笹倉家に泊まることに。