第6章 縮む距離感
「・・・終わった〜・・・」
ついに来た面接当日。昨日までの3日間、功平に練習に付き合って貰ったおかげで何とかこうして乗り越えることが出来た。彼の言っていた本番での勢いも、何度も意地悪なんじゃないかと思う程彼に練習で訓練された結果、特に動揺することもなく発揮出来たはず。まぁ、校内面接だから知ってる先生達なんだけどね。
大きな緊張から解放され肩の重みが嘘みたいになくなった私は、いてもたってもいられず学校を出てすぐ携帯を取り出し、校門に背中を預けて文字を打つ。
「・・・えーっと、めん、せつ・・・無事に、終わり、ま、し・・・」
「・・・何やってんの(笑)」
「・・・・・・へ、・・・っえ?何でいるの!?」
「そりゃーあれだけ面倒見といて気にならない訳ないでしょ」
驚いて危うく携帯を落とす所だった。
何と功平が私の学校の前まで来ていたのだ。
「どうだった?」
「・・・一応、出来た、と思う」
「ん、お疲れ様」
頑張ったな、と、肩にポンと手を乗せられる。ずっと指導してくれていた人にこうして褒めて貰えて、素直に嬉しかった。
「何だかんだ言って、結構こういうの得意でしょ」
「と、得意じゃないよ!すんごい緊張するんだから!」
「緊張するから出来ないって訳じゃないだろ。負けず嫌いだしな」
「・・・それって褒めてる?それともけなしてる?」
「どう聞いたって褒めてるじゃん(笑)。自信持てって言ったろ、アホ」
彼はそう言うと少し笑って、今度はコツン、と軽く私の頭を小突いた。
「・・・何か、最初の頃の印象と違うんですけど」
「それはお互い様」
「・・・そうだけど・・・」
「それに、どっちかって言うとそれは俺のセリフだと思うんだけどね」
「な、何でよ?」
「別に何も」
「あ、その口調久し振りに聞いた!」
いつの間にか2人で向かっていたのは、いつかのあの公園。どちらからともなく、自然に足が向いていた。そういえば・・・ここに来るのは結構久しぶり。
「・・・功平くん!」
「ん?」
「ありがと、ね」
「・・・どういたしまして」
人気のない、冬が間近に迫る寒い公園。転がるボールを蹴り合いっこするのは、確かあの日以来。
「下手くそ」
「うるさいなー」
少しずつ、成長していってる。