第6章 縮む距離感
「、こーへーくん!」
「・・・お疲れ(笑)」
「はぁっ、はぁ・・・お待たせ・・・」
放課後、私は校門ではなくとある場所へと足を走らせた。
「走らなくていいのに(笑)。それに、さっき来たとこだから大丈夫。・・・でも、何でここ?」
そう、私が彼に会う為に走って向かっていた場所・・・それは、
「だって・・・あんな所、目立つもん」
「・・・あんま変わんない気がするんだけど」
そう言われても仕方ない・・・ここは校門から少しだけ離れた角の所。確かに距離はそう変わらないけれど、実はここは学校からは死角で見えない。
「・・・それより、今朝のありがとな。嬉しかった」
「あ・・・うん、喜んで貰えてよかった」
実は今朝、起きてすぐに功平宛てにメッセージを送った。面接当日だし、昨日伝えたとは言え、やっぱり当日の方がいいに決まってると思って。そのついでに、今日迎えに来てもらう場所の変更もお願いしたのだ。
「・・・面接、どうだったの?」
「んー、まあまあってとこかな」
彼が歩き出して、私も続いて歩き出す。少し後ろにいたはずの私は、歩幅を合わせてくれる功平のお陰ですぐに隣に並ぶことが出来た。そして功平は、隣の私を覗き込むようにして歩を進める。
「ところで・・・風邪は?微熱とかない?」
「大丈夫、全然ないよ!・・・功平くんこそ、どうなの・・・?」
「俺は見ての通り何ともありませーん。心配ご無用」
と笑うと、彼は私の頭をポンポンと軽く叩いた。何とも自然で流されそうになったが、しっかり認知した私の心臓が大きく動き出す。
「じゃあお互い何ともない訳だし、別に家じゃなくてもいっか」
「うん・・・?」
「病み上がりだから家の方がいいかなって思ってたんだけどさ。集中出来なさそうだし、どうしようかなーって」
(・・・集中?何に?っていうか、家なのに集中出来ない?逆に家だから?・・・あれ、こんがらがってきた・・・。)
話が見えない私は、大人しく彼について行くことにした。
「はい、」
「・・・ありがとう」
連れてこられたのは駅前の某カフェ店。座って待ってて、という彼は、私の好きなカフェラテを買って持って来てくれた。
もしかして、今日は2人だけでお喋りする為に・・・?と思ったその時、