第6章 縮む距離感
「・・・うん、心配・・・してる」
違うと意地を張るのもおかしい気がして、素直に認める。すると、少し長めの溜息が聞こえてきた。
『・・・バーカ。俺はお前の方が心配だっつの』
「え、」
『だから電話したんだよ。絶対無理してんだろうなって思って』
まぁ、案外元気そうでよかった。と、溜息まじりに言う功平。思わず熱くなる頬を片手で押さえながら、顔見られなくて良かったと私も小さく溜息をついた。
『明日学校どうすんの?』
「あ、行くよ。・・・功平くんは?」
『俺も行くよ。明日面接なんだ』
「えっ、受験?」
『そう。・・・だから、応援してよ』
「お、応援・・・!?」
そんなこといきなり言われても・・・と困惑しつつも、でもやっぱり頑張って貰いたい。こういうのって意外と直接の方が言いやすいのかな・・・と、しみじみ思う。
「・・・明日、頑張ってね。無理だけはしないで・・・応援してるね!」
『・・・ん、サンキュ(笑)。元気出た』
明日頑張れそう、と笑う彼に私も笑う。何だか私の方が嬉しい気持ちになる。だから私も、言ってみようかなって思った。
「・・・私もね、今週、面接なんだ」
『へぇ、いつ?』
「・・・木曜日」
私の面接日を確認すると、彼はふーん・・・と少し間をあける。・・・言わない方が良かったかな、と気まずい感情が胸の中に渦巻いてくる。すると、
『・・・今週、会える?』
「・・・へ?」
『ちょっとでいいからさ。水曜日までのどっか』
「えっと・・・あいてるよ、全部」
突然どうしたのかよく分からないけど、誘いを受けたのはとにかく嬉しくて・・・面接の練習なんて全然してなくて余裕もないくせに、全部空いてるだなんて大口叩いてしまった。
『じゃあ、明日迎えに行く』
「迎えに・・・って、どこに?」
『学校。放課後、正門で待ってる』
「え・・・でも、面接は?」
『大丈夫。ともが帰る頃までには終わってるはずだから』
正門まで迎えに来てくれる。恥ずかしい・・・けど、嬉しいのが本音。・・・なのに
『あ・・・でも病み上がりだし、家帰ってゆっくりした方がいいか・・・』
と、功平が思いついたように零す。やっぱり会えないと言われているようで途端に悲しさが込み上げたが、仕方ない。彼の体調の方が大切。