第4章 対面そしてご挨拶
ガチャ
「ただい・・・・・・え、」
「あっ・・・あの、こ、こんにちは!お邪魔してます!!」
リビングのドアが開いた音に反射的に立ち上がった私を、入ってきた当人は当然驚いた様子で凝視する。人見知り発症中の私はドキドキが止まらない。
「おー、おかえり」
「ゆーにぃ、おかえり!」
席に着いた2人は平然と挨拶をし、私と“ゆーにぃ”は置いてきぼり状態。
(・・・って、あれ?“ゆーにぃ”って何か聞き覚えがあるような・・・)
頭の片隅にある記憶を思い出そうとしていると
「コイツは弟の悠輔(ゆうすけ)。で、こちらが例のとも」
と、私達お互いの紹介をしてくれる悠輔くんのお兄さんらしい彼。・・・ってか、例のって何!?
「・・・どうも、悠輔です」
「あっ・・・ともみ、です」
一応ちゃんと名前で自己紹介し直すものの、これまたいつかの同じような訝し気な目で私を見ている。まさにデジャヴュ。その当人であるいつかの彼を横目で見ると、案の定あの含み笑いをしている。
必然的に一緒に食べることになり、いただきますと4人で声を合わせると、テーブルの中央に置かれた大きなオムライスを各々取り皿に取り分ける。隣に座る陽太の分を私が取って渡すと、陽太はありがとう!と受け取って子ども用スプーンで食べ始めた。さぁ、私も食べよう!と再度オムライスの方に視線を向けると
「・・・・・・なん、ですか・・・」
正面に座る兄弟の2人が私達・・・というか私を見ていた。気まずさと怖さで更に緊張が増す私に、別に。と決まって答えるのはやっぱり彼。そしてその隣の弟くんは・・・そんな自分の兄を更に驚いた表情で凝視していた。
(・・・どうしたんだろう?)
私に対しての驚いた表情よりも驚いているようだけれど、私には何があったのかさっぱり分からない。
「・・・・・・何だよ」
「・・・いや、別に」
それは兄である彼にも分からなかったらしい。そんな兄に悠輔くんは言葉を濁し、その後何度聞いても口を割らなかった。
(ていうか、口癖一緒・・・)
そんな悠輔くんに聞くのを諦めた彼は緊張している私に気づいていたようで、私を気遣うようにフォローしながら悠輔くんとも会話出来るように繋いでくれた。そのおかげで、悠輔くんとは食後に一緒に食器を洗えるくらいになっていた。