第2章 冷え始める季節
「・・・・・・な、何ですか・・・」
この人が笑う度に、私が精一杯の勇気を振り絞って投げ掛ける言葉。その度に彼はたった一言、別に、と答えるだけ。私のやっとの一言を無下にする彼の一言に、まだ会って間もない私がどれだけ落胆したことやら。そして今回も、どうせお馴染みの言葉が
「・・・面白いなー、本当」
・・・・・・・・・・・・ん?あれ?
「うん、面白い」
え、まさかの返ってこない!?どうしよう、予想外の返事に心の準備が出来てない。どんな反応をすればいいの?どう返せばいいの?どうしよう、どうしよう。そんなことばかり頭の中を駆け巡っていると
「緊張し過ぎ(笑)」
「す、すみません・・・」
「いやいや、謝ることじゃ・・・。人見知りですよね?」
「え・・・あ、はい・・・」
図星。バレてる、もろバレ。私の表情が面白かったのか何なのか分からないけど、彼はまだ笑ってる。
「ていうか多分、俺ら同い年ですよ」
「、えっ?」
「俺、高3です」
「あ・・・私も、です」
「やっぱり。ってことなんで、そんな緊張しなくて大丈夫ですよ」
そう優しく笑顔で促してくれた。それでもやっぱりまだ緊張はしてしまうけれど、どこか少し気持ちが解れた気がした。
「・・・ありがとうございます」
「いや、俺は別に何も(笑)まぁ、俺も少し人見知りなんですけどね」
「え!?」
嘘だ、とつい言ってしまいそうになったが、どうにか止まった。それでも彼にはバレてしまったようで、本当だ、と返された。
「・・・あの、何で私と同い年って分かったんですか・・・?」
「あー、だってさっき、3年間サッカーを選択してたって言ってたから」
「・・・なるほど」
「それに見た目も大人っぽいし、同い年なんだろうなーとは思ってました」
まぁ、幼い頃から年齢相応に見られることはほとんどなかったし、それは今でも言えること。そして彼も然り。見た目だけでなく、同い年とは思えない言動を見せる彼は、もちろんのこと年下なんて思えなかった。
そんな時、無意識に陽太の頭を撫でていた私の手に、身震いした陽太の振動が伝わった。
「・・・陽太?起きた?」
「んん・・・」
寝ぼけているのか、寒くて蹲った身体を私に擦り寄せて暖を取ろうとする陽太。思わず私も抱き抱えるように陽太の身体を優しく摩る。