第1章 あなたにあげる、リンドウを
道行く人々がアキト達を注視する。女の子はそれに気付き、足早に去って行く。
あーあ、めっちゃ目立ってんじゃん。ご愁傷様。
ひとりぼっちで立ってるアキトを見ると、彼もこっちを見た。
「あ、アズサじゃん」
話しかけないでよ。
私まで注目を浴びた。私、関係ないのに。
「アキト、久しぶり。じゃあ、またね」
私はその注目から逃げ出したくて離れようとしたら腕を捕まれた。
そしてそのまま、引っ張られる。
私達を見る人ごみを掻き分けて小さな居酒屋に入った。
「アズサ、どうせ暇だろ。飲もうぜ」
順番が違いますけど。
許可とってから連れて来てくださいよ。
最初から焼酎のロック。
自棄酒に付き合えってことですか。
まあ、私結構お酒強いから大丈夫だけど。