第12章 記憶の扉(前編)
「僕ももう我慢できない。いれていい?」
「うん……、いれて……」
僕は彼女の唇にふれるだけのキスをする。
そして僕のものを彼女の濡れているところにあてがい、そのままいれた。
彼女の中はとても熱く、やわらかく、動いていた。
僕はその感覚に気が遠くなりそうだった。
僕は彼女の手をぎゅっと握る。
「あっ……、ああん、ミシェル……」
「……ん?」
僕は彼女の口元に耳をよせる。彼女は目を閉じたままうつむいて恥ずかしそうに言う。
「あの……、えっと、あれ……、つけてなくない?」
「うん、なにもつけてない……」
「えと……、だいじょうぶなのかな……」
そう言って僕の目をちらっと一瞬だけ見る。僕は彼女の髪にキスして言う。
「結婚しよう」
「なっ……! なんて?」
「結婚しよう。もう僕はマリィ以外の誰かを好きになるとは思えない」
彼女は顔を真っ赤にした。そして言った。
「こんなときに……。ずるいよ……。断れないじゃん」
僕は彼女の目をのぞきこんで聞く。
「断るの?」
彼女はちょっとだけすねたような表情をして言う。
「断らないよ……」
「よかった……」
僕は彼女の身体をぎゅっと抱きしめた。
「普通言わないよ、こんなときに……。もう……」
マリィは泣き出してしまった。僕は彼女の髪をそっとなでる。
「あのね……」
僕が声をかけると彼女は涙のたまった瞳で僕を見た。
「あんまり中、動かさないで。出ちゃう……」
僕がそう言うと、彼女はまた顔を真っ赤にした。
「動いちゃうの! もう、ばかぁ……」
「ごめん、ばかで……。ていうかもうだめ……」
「うそ……? 熱い……。これ……?」
僕はマリィの中に全部出した。
「ごめん……、出ちゃった……」
「もう、やだぁ……。ばかぁ……」
彼女は再び泣き出した。僕は彼女の鎖骨あたりに軽く頭をのせた。