第9章 殺して
「……この店で働いてました」
うまく声が出なかった。
後ろの男が私の顔をのぞきこむ。こっちは少し若い。
「俺たちここのオーナーに金貸してたんだ。どこ行っちゃったのかな、オーナーは」
「……知りません」
そう答えると中年の男に顔を殴られた。口の中に血の味が広がる。
「ほんとに……しらないんです……」
涙があふれてくる。
「じゃあ、この娘に返してもらっていい?」
若いほうの男が言う。
「好きにしろ」
中年の男が答える。
「わたしお金なんて」
「身体で返してね」
若いほうの男が私を床に押し倒す。
「やっ、やめてください」
逃げようと必死で身体を動かしても全然動けなかった。横を向いて泣いていると、上にのっている男が私のあごをつかんで上を向かせる。そしてニヤッと笑って言う。
「泣かれると萌えるからもっと泣いていいよ。あははっ……」