第2章 俺だけじゃ、足りないの?
「ねぇアズサ、俺これ見たい」
「またこれ? 別にいいけどさ」
何故かベッドに置いてあった一本のDVDを拾い上げた。
アズサはそれを受け取り、面倒そうに身体を起こした。
俺はカーテンを閉めて部屋の電気を消す。
暗くなった部屋でも馴れた様子でDVDをセットするアズサ。
またベッドに寝転がるとアズサも戻ってきて俺の前で背を向けて映画を観始めた。
後ろから抱き締めるとちょっと身を捩ってからくたんと力を抜いた。
俺が後ろから抱き締めたときの定位置があるらしい。
何故かその位置なら俺も落ち着く。
どの辺りかよくわからないがアズサが勝手にその位置に移動する。
だから、いちいち俺が覚える必要がなくなった。
「ほら。カナタとはDVD出たら一緒にみればいいじゃん」
「最後までおとなしく見たことないけど」
そう、いつもDVD観たりしてるけど最後まで観たことはない。
このDVDも冒頭だけなら台詞覚えるくらい観た。冒頭だけなら。