第1章 少年達の花園 1
『明日は食事を持ってくることにしよう』
あの人………楓さんはそれだけ言うとクルリと身を翻し、歩き出す
「あっ……ちょっと……」
『私は諦めたわけではない、一時保留をしただけだ。貴様らが私を信用出来るようになったらまた、誘おうかと思っている』
僕はその言葉に目を見開いてしまった
『そんなことで驚くな。逆に言うが、子供をこんなところに置き去りにする大人が可笑しいのだ。どんな理由があろうともそれは変わらん。だからお前らは何も悪くない。子供は"世界の宝"……"未来の希望"だ、子供は大切にしないといけない。そうだろ?後ろの貴様らもそうだ』
ハッと気付いて後ろを見るとみんなさっき僕がしていたような顔をしている
「な、なんで……」
『ん?』
「なんで僕らにそんなに拘るの?僕らに取り柄なんて一つもないのに……」
『先程も言ったが子供は宝だ。生まれてきたことに大人達は感謝すべきことなのだ。それが今の貴様らの取り柄だ。私が貴様らに拘るのは貴様らの未来を楽しみにしているからだ』
「僕らの未来に……?」
『あぁ』
そんなこと大人から初めて言われた
あの大人たちから僕らに「ゴミ、クズ、必要のないもの」と言われ続け、自分は価値のないものと自然に思っていた
だけどこの人は違う。僕らなんかが未来の希望と言ってくれる
そう思うと僕らはこの人に着いて行った方がいいのではないかと思う
「あの……楓さ…」
「お頭!アイツです!!」
楓さんに話しかけようとしたとき、近くからあの大人たちの声が聞こえた
「ほぉアイツか」
今まで見てきた大人たちとその大人たちより大きな体の頭と呼ばれた男
『なんだ貴様ら』
「貴様らだとよ!!」
先程より険しくなった顔の楓さんと対称的に男は笑っている
「お頭!気をつけたほうがいいッスよ!油断するとまた……」
「テメェが油断しすぎたんじゃねぇのか?」
『もう一度問う。なんだ貴様ら』
楓さんのことを知らない男は昨日来た大人たちと違い余裕そうだ
楓さんは険しい顔のまま大人たちに問いかける