第1章 少年達の花園 1
「あ?なんだテメェ?」
最初はやり取りを見ていただけだった楓だが"ある一言"に反応し男の前に立つ
『"誰に食べさせる飯はない"………だと?』
楓が反応したのは"誰に食べさせる飯はない"という一言
「こいつらに決まってんだろ!」
『ふざけるのも大概にしろ………』
楓は今までに感じたことがないような怒りを感じていた
今まではどんなに馬鹿にされようが、非難の目で見られようが微塵も怒りを感じなかったのにどうしてもこれだけは許せなかった
「はぁあ?よく聞こえねぇなぁ?」
『なら、もう一度言う。このゲス野郎が……』
「なんだとこ…」
『ノッキング……』
男が襲い掛かって来る前に男の首もとへ手を伸ばし、指でノッキングをする
「クッ……う、動かねぇ……」
『貴様の体にノッキングをした。暫くは動けん』
「指で……ノッキング……だと……?」
『食は誰もが出来、平等であるべきものだ。貴様らなんぞには分からんだろうがな。それと今のノッキングは"フルコース"で言う"前菜"にも満たないものだ。次、私の目の前で同じことをしてみろ、"技"の"フルコース"をご馳走してやる』
ニヒルな笑いを残し、他の場所に居るであろう残りのラーバーにも同じものを"味わわせ"に向かった
ノッキングで動かない男は生まれて初めてのとてつもないほどの恐怖を感じていた
今まで自分はここで一番強い団体に入り、負けなしの盗賊だったのにいきなり現れた女にノッキングされ、あげくのはてには死の恐怖さえ味わされた
それと同時に男が感じたのは相手と自分の強さの違い
自分は相手の足元にも及ばず、ましてや同じ場所で戦い合うなど無理難題な話だ
相手は自分の居る場所の遥か上空に居ても尚自分の弱さが分かるほどの気迫を感じさせるものだった
それはまさに"敗北"だった