第16章 *お前が素直すぎるから feat.日向
*
そんな、特別な何かが起こるような気もしないきっかけで、遠野はうちに泊まることになったけど…──
「……。」
「………。」
本っっ当に何もない、つーか会話もない。
あるのは気まずい空気だけだ。
遠野とは普通のクラスメートだけど、いざこうなると、普段何を話してたかを忘れてしまって、何も話せなかった。
何かないか、何かないかと脳内で検索をかけまくった俺は、最早迷走しまくった答えを出した。
「トランプやらないか?」
修学旅行じゃねぇよ。
そう自らに突っ込むような提案に、しかし遠野は意外な反応を見せる。
「やっ、やりたい!修学旅行みたい…!」
うん、そう思いますよね。
遠野からもそう見られてたことにがっくりしつつ、嬉しそうな姿に癒されてるところもあった。
「じゃあ持ってくるな。」
「うん…っ!」