第2章 *似てるようで、違うような feat.笠松
「そ、その、眠いんだったら寝ていいんだからな?ここで寝ても、後でベッドに寝かせとくし…。」
「…幸君て、お兄ちゃんみたい。」
「ソファがいいならそのままでも…え?」
一見、それまでの会話とは関連性のなさそうな呟きに、幸君は首を傾げた。
「なんていうか、お兄ちゃんと幸君、私に同じことしてくれるなーって思って。優しくしてくれるし、私のこと助けてくれるし。」
お兄ちゃんと幸君は中一からの友達だから、幸君がお兄ちゃんの影響を受けたのかもしれない。
でも、幸君は最初から優しい人だったと思う。
そういうところ、やっぱり似てるなって思った。
さっき「寝ててもいい」って言ってくれた時も、お兄ちゃんとピッタリ重なったし。
「そうか?俺、あいつとは正反対だってよく言われてたんだけど。」
「性格の問題じゃないよ。でも、違うとこもあるなーとは思ってた。多分、それかな?」
似てるけどどこか違う気がするのは、幸君がクールで頼りになるのに対して、お兄ちゃんが明るくてお調子者だったからかもしれない。
でも、どっちにだって優しさと、あともう一つは変わらなかった。
これはまだ、幸君本人には言えてないこと。
だけど、今なら言える気がして、深呼吸をしてから話しかけた。
「…あのね、幸君。」
「ん?」
雰囲気の変化に気づいたのか、私に視線を向けて話を聞いてくれる。
「私、お兄ちゃんが秋田に行った日、すごく寂しくて不安で、たくさん泣いた。でも、毎日こんなに笑ってられる。本当に幸君には感謝してるよ。だから……