第2章 *似てるようで、違うような feat.笠松
「幸君、お風呂次いいよ〜。」
夜ご飯を食べた後お風呂に入り、三十分くらいで上がって幸君を呼んだ。
「おう。…って、まだ髪の毛濡れてるぞ。」
「えっ?わ、本当だ。」
幸君にそう言われた髪の毛を触ってみると、確かに濡れていた。
さっき、ちゃんと拭いてドライヤーで乾かしたはずなのに。
「お前、乾かす時間が短すぎんだよ。…ほら、こっち来い。」
手招きをされてそっちへ行くと、幸君に背中を向けるようにして引っ張られた。
「うっ、わあ!?」
抵抗も出来ず、気づけばソファに座っていた。
それも、幸君の足の間に。
引っ張ったのは幸君だったみたいで、びっくりしたけどそんなに強い力ではなかったなぁ、なんてことを思い出す。
驚いてボーッとしてる私のことを気にせず、幸君は私の手にあったタオルを持って、髪を拭いてくれた。
「えへへ、ありがとーう。」
「はいはい。」
お風呂上がりというのもあり、幸君に髪を拭いてもらってると、ウトウトしてきた。
こくり、こくりと頭が揺れて、途中で寝そうなことに気がつきハッとする。
そんなことを繰り返してると、幸君が後ろから話しかけてきた。
「お前、何してんだよ。寝そうなのか?」
多分、頭が動いてたから、その揺れに気がついたんだろう。
幸君が私の顔を覗き込むと、意外と近くて驚いた。
「わ、わ、幸君近いよ。」
「っ!わ、悪い…。」
女の子に慣れてない幸君は一瞬で耳まで真っ赤になってしまい、誤魔化すようにそっぽを向いた。