第11章 *変化と相変わらず feat.高尾
──そして昼休み、屋上前の階段にて。
ちょうど死角のところに立ち、俺は2人の会話を聞いていた。
…言い方を変えれば盗み聞きだけど、まあしょうがないよね!
「真太郎、その…朝はごめん」
「謝らなくていいのだよ。今日はエイプリルフールだからな。…それとも、あれは嘘ではないのか?」
「う、嘘だけど!でも、嘘でもやっぱり…ちょっぴり…ほんのちょっぴり、傷ついたし…。あ、「あたしは」であって、真太郎が違うならいいけど!」
ツンデレ同士の会話だけど、遠野さんの方が正直じゃないから、真ちゃんがやけに素直に見える。
今思えば、去年付き合い始めて以来、真ちゃんは遠野さんに対しての態度が優しくなっている気がする。
やっぱり関係が変わると対応も変わるのか…と思ったけど、それにしては遠野さんは変わらなすぎじゃね?
苦笑いを浮かべつつそんなことを考えるけど、もちろん聞こえるはずがなく、2人の態度も変わらない。
「俺は大丈夫なのだよ。第一、顔が真っ赤で、好きと言われてるのと大差なかったのだよ」
「なっ……う、うぅ…っ!だって、今日の「嫌い」は「好き」ってことでしょ!?だったらしょうがないじゃない!」
クールに返す真ちゃんに、半ばヤケになって返す遠野さん。
…真ちゃんが大人びてるだけに、遠野さんが子供っぽく見える…。
そう思ったけど、それは少し違ったみたいだ。