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Sweet Love* Part3

第6章 *hold feat.笠松


その日の午後6時半。

部活が終わって学校を出ると、校門に誰かが寄りかかってるのが見えた。

「あっ、笠松先輩!」

それが誰だか分かって、手を振りながら駆け寄った。

向こうも私に気づいたらしく、寄りかかっていた体を起こす。

「おう。…部活お疲れ。」

どこかそわそわしているようで気になったけど、特に訊きはしなかった。

いつもはこの時間に会えないから、そっちの方が気になったのだ。

「はいっ!でも、笠松先輩、いつも私より遅いって聞いたんですけど…。今日は早いんですね?」

「今日は自主練しないできた。その…


香奈と、帰りたかったし…。」

「へ?なんて?」

「な、なんでもねーよっ!」

最後の方が聞こえなくて訊き返すけど、笠松先輩は教えてくれなかった。

よく分からないけど、問い詰めるほどのことでもないかと思って、一緒に帰路につく。

「いつもは部員のみんなと帰ってるんですか?」

「ああ。あいつら騒がしいから、一人で帰りたいと思う時も少なくないけどな…。」

「確かにバスケ部って、個性的な人多いですもんね。」

「…それは俺のことも言ってるのか?」

「えー、どうでしょう?」

「どうでしょう、じゃねえよ…。」

一緒に下校するのは珍しいことだけど、これといって特別な会話はしなかった。

けど、さっきから笠松先輩の様子がおかしい。

ちらちらと私の方を確認してきたり、何かをしようとして赤面しながらやめたり、明らかに不自然だった。

「…あの、笠松先輩?」

「どうした?」

「いや、それ、こっちが聞きたいんですけど…何かしようとしてません?」

「なな何かって何をしようとしなきゃなんねーんだよ俺が!」

「そこまで分かりやすく混乱されると、こっちまで反応に困ります…。」

真っ赤になってあたふたと慌て始める笠松先輩に、やっぱりそうだったんだと確信した。

「いいじゃないですか、もう何かしようとしたことはバレてるんですよ?」

「そ、それもそうだな…。」

笠松先輩はそう呟いた後、深呼吸をして…



手を繋いだ。
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