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Sweet Love* Part3

第6章 *hold feat.笠松


部活が午前中しかない、日曜日。

最近人気の映画を見たいという私の希望で、映画館でデートすることになった。

館内は、人気の映画だけあって大混雑。

「うわ…人多いな。香奈、転ぶなよ。」

「うっ…は、はい…。」

口ではそう言いながらも、今にも人混みに飲まれそうで不安だった。

笠松先輩を見失わないように必死に追いかけたけど、誰かに押されて尻餅をつく。

「笠松先輩、待ってくださ……っ!」

幸い怪我はないけど、人の声で溢れかえる中、笠松先輩に私の声が聞こえたかわからない。

最初は追いかけなきゃと思ってたけど、足がすくんで動けなくなった。

「どうしよ…笠松先輩…っ。」


…置いていかれる。
何となくそう思った。

こんなに人がいるのに、一人ぼっちな気がして、急に不安が押し寄せた。

立つこともできないまま、一人になった私は、ただただ泣きそうになっていた。


──その時。

誰かの影で、天井からの光が遮られた。

聞こえたのは、追いかけていた人の声。

「だから転ぶなよって言っただろ。ほら…立てよ。」

手を引っ張って起き上がらせてくれたのは、笠松先輩だった。

「か、笠松先輩…?」

涙目の私を見て少し驚くも、すぐに呆れたように話を続ける。

「あーもう…。お前、すぐはぐれそうで不安だから、今だけ手繋いでやる。別に、やりたくてやってんじゃないからな!」

そしてそのまま手を離さず、私のペースに合わせて歩いてくれた。

初めて繋がれた手が、震える。

やりたくてやってるわけじゃないのに、ちゃんと恋人繋ぎで、思わず笑ってしまった。
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