第1章 少女01
確かに額にはその証拠と言える包帯が巻きつけられていた。
どこの病院だろうか。
私の名前のカードをもう一度見る。病院の名前がその下辺りに書かれていた。
知らない病院だ。
ここまででわかること・・・・情報がほとんどないということ、のみ。
(ど、どうすればいいんだ・・・・。手掛かりゼロってどういうことだよ!!!あああ怖い誰か知り合いの一人くらい、っていうか人間に会いたい!!!)
外には晴れ空がのぞみ、車の出入りする音も聞こえるあたり、世界でたった一人取り残されるとかそういうのではないようだ。
所持物から何か分からないかと周辺を探る。
携帯なども近くの台を漁っても見つからず、私が所持していたものは徹底的にない。もし事故でここにいるのなら、所持物が破損していたりしてもおかしくはない。でも全てがすべて壊れるわけでもないだろうし、と考えを巡らせる。
ところで親族関係がいないのはなぜ?こういう場面で目覚めた瞬間
『妙美っ・・・・・!!!!!』
という感動の再開があってもおかしくないはず。むしろここまできて誰もいないなんておかしい。
(お母さんやお父さん、友達だっていてくれてもいいじゃないか・・・。)
己の孤独を抑えようと周りにいちゃもんをつける。
そういえばさっきから、知り合いだ親だ人のことばかり考える割に顔も名前も出てこない。自分に関連する人間を誰一人覚えていないということなのか。だとしたら本当に絶望的だ。
何とも言えない寒さが胸を締め付け泣きそうになる。
「ー・・・・。」
感傷的になっていると、病室の外から話し声が聞こえた。
目を見開いて横開きの重々しい扉を見つめる。
人に会える。今の私のこの寒さを和らげられるのはもうそれだけだった。
「ー・・・はい、分かりました。」
「・・・あら、もう起きたのね。おはよう。」
その声の主達は並んでこの部屋へと入ってきた。その数2名。1人は看護婦。