第1章 少女01
(すごく、)
ドキッとするじゃないか・・・・・!!
(やだー!!ほんとやだー!!!可愛いなー!!もー!!!)
胸の鼓動が走る走る。それを必死に冷やすかのように風がゆれ、私の汗をふいて行く。ふけていないけど。追いついてないけど。
「えっと、それは、どういう・・・。」
これは恋人フラグではとかおもったが、
「それに、貴方の手料理が食べたくなっただけです。」
そんなフラグを打ち砕くフラグがやってきた。今度は嫌に脂ギッシュな汗が流れ始める。この私は生きてきてこの方、誰かのための料理など作ったことがなかった。端的にこの台詞だけ聞くと幸せな夫婦カップル!?となるはずだが自分の経験のなさがそんな想像をさせてはくれない。
(誰かを満足させる手料理だと!?ふざけるな無理だ!!!)
さっきの冷蔵庫を思い出す。あの見たこともない材料から察するに、彼の知っている"私"とは料理ができるんだろう。そうなんだろう、だから手料理どうこう言っているんだろう・・・!
「えっと、手料理って、材料が今ないんだ、けど・・・。」
「じゃあ買いに行きますか?」
「え!?あ、あー・・・うん。」
うんって、言ってしまった・・・・!!!
蒼白としていく顔。
「じゃあ行きましょう。あまり遅くなるとうちの親も怒るので。」
彼が椅子から立ち上がる。心臓が壊れてしまいそうだ。さっきからドキドキしてばかりで、心臓がいつ異常を起こすかわからない。
ドキドキしすぎだ。
嬉しさ?いやそれとも違う。いやそれもある。とにかく行かなければならないようだ。
玄関近くにあったエコバックを彼が持つ。
夫婦っぽいー・・・なんて素直に喜べないところが、今の問題といえる。
しばらくは脂汗用のタオルが入りそうだ・・・。
重い玄関のドアを開けると、少し夜風が髪を撫でた。
涼しい・・・・・はずなんだけどなぁー。
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