第1章 少女01
1-01:こんにちは。
鼻を突くにおい。消毒液か何かだろうか。
真っ暗の視界。あ、目を瞑ってんのか。
私はー・・・えっと、陽野・・・・・妙美?だった気がする。
とりあえず、目を開けよう。
「病・・・・・院・・・?」
病院で横たわっていた。白壁の、清潔感ある病院。個室ではなく、私のベッドは6つある中の右端一番置く。外がよく見える。
(相部屋なのに私しかいないなんて・・・これじゃ個室同然だなぁ。)
ベッドに取り付けられたカードには確かに私が先ほど思い出した名前が書かれていた。
辺りをきょろきょろと見回しているうちに、思い出したことがある。私は確か、自転車で走っていた。それで・・・?何で病院?覚えがない。自転車をまたいでいたことは確かに覚えている。まさか衝突事故でも起こしたのだろうか。色々覚えていない。自分について分かるのは、名前、位だ。
(どうしよう・・・。記憶喪失・・・ってやつなのか・・・?)
今まで数々の本アニメマンガに触れてきて、記憶喪失等々のものなんて殆ど空想にすぎないと思っていた。信じられない、いざ自分がなってみると。
(あれ、そういうことは思い出せるな・・・。)