第1章 少女01
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「妙美、妙美・・・・?」
誰かに名前を呼ばれている。
(う、うるさい・・・。私は眠い・・・。)
揺らされる肩の辺りを適当に手であしらおうとするも寝ぼけながらのせいか上手くできていない。
「・・・・起きてください。ご飯食べられませんよ。」
この、単調な口調・・・。意識がはっきりして行く中、その主も分かってくる。
「く、黒子・・・・くん!」
「その呼び方されるとむず痒いです。やめてください。」
(あ、そうか・・・。幼馴染だものな、名前で・・・呼び捨てでいいかな。)
ヨダレのあとを袖で拭い、口もふく。
「テツヤ・・・。」
(うひゃぁぁああ、違和感ある・・・。というか恥ずかしいなこれ・・・。)
「・・・ここのところ変ですね。何だかまるで、別人になったみたいに。」
だっといっきに汗が吹き出てくる。今私はおかしなことを言ったのだろうか。焦りを感じ、慌てて「そんなわけないよ!」と返した。こんなんではその通りですと言っているようなものだ。
ジト目(と言っても彼は元々そんな感じの目つきではある)が、わたしを刺してくる。怖い、びっくびくだ。頬の暑さから、何と無く冊子は付くが顔が赤い・・・・?
そんな・・・・・・。
(こんなイケメンロールキャベツ目の前にして、突然よよ呼び捨てを平気な顔でとか無理じゃぁぁぁあああああああ。)
きつい世界であるような気がこう、ふつふつと湧いてくる。実は予想していなかったわけじゃない。流れでなんとかなるんじゃないかとか思っていただけだった。
「何か、飲む?」
「はい。」
顔の火照りを抑えるがために冷蔵庫に近付いて急ぎ目に開けた。
彼をちらっと見ると、私の座っていた椅子の隣に座ったままでこっちを空気の流れを動かさず見ている。イケメンにじっと見られるとに慣れていないせいと、さすがに無表情で見られ続けられていることに益々動揺をする。いけない、このままでは永遠ループを辿りそうだ。
冷蔵庫内に逃げて中を物色する。