第1章 少女01
ビクリと肩が跳ねる。
「はいぃいいいい!!!??」
「え。」
なんと気がつくとすぐ隣を歩いていた黒子氏・・・・!驚かせないでいただきたい。思わず声が裏返り乙女()ならざる悲鳴を上げてしまった。
彼は表情一つや張り替えてはいなかったが、異変を感じているのが分かった。落ち着かなければならない、彼とは百歩譲ってでも知り合いであるのは確実なのだから。あの看護婦とのやり取りやカバンを持ってくれる様子からして他人でない訳がないが無い。あって知人友人程度?
「退院して、本当に良かったんですか。」
「うん、大丈夫大丈夫!ほんと!」
「・・・・昔から、大丈夫と言って大丈夫じゃなかったことが多々あったゆえに貴方の大丈夫はあまり信用してません。」
"昔から"
ああ、やっぱり幼馴染だったのか。
それならこの"私"の両親と連絡をとっていたのも、制服を洗ったのも分かる。恋人かもなんて浅はかな予想に少しでも期待をしていたことを思い出すと途端に顔が熱くなった。
「顔赤いですけど。」疑う顔付きだ。ちょっとそろそろ本当に危ない。
「いやぁ、ちょっと恥ずかしいこと思い出しただけだよー!」
「そういえば教科書なんですけど、貴方がいない間に配布されたので合鍵使わせていただきましたよ。」
(うわぁぁぁあああああ合鍵ぃいいいいいいいいい恋人っぽいじゃんうへぇ。)
私は顔に良く気持ちが出ているのか、にんまりとした顔を見られ怪訝そうな顔をされた。
「・・・不思議なことでもないでしょう。」
「そ、そうだね・・・。」
そして少しこちらに向けていた目線をまた前に戻す彼。私も少し談笑(?)できたことが嬉しくて、同じ方向を見た。
このまままた黙りかなーと思っていると、しばらく歩いたところでまた彼が口を開いた。