第1章 少女01
「・・・・無事で、良かった。」
本当に小さな一言であったが、それに酷いくらい喜びを感じた。彼の顔を見てみれば、本当に小さくだが口元が緩んでいるように見える。気のせいではないぞ決して!!!あー多分また顔が気色悪いことになっていることだろう。
「・・・あの、なんでそうもいつもにましてニヤついてるんですかね。」
「ほおっといて!自然現象に近い!」
さっきはどうなるかと思ったが、短期間にしたくないほど充実した旅行になりそうだ。
(へへ、へへへ、トリップ最高!!!!!!!!!!!!)
そんな事を心で叫んだ。
・・・って、いつもにましてニヤついている?彼の知っている私というのは、もしかしてとても私に近いのかもしれない。思えば彼の知る"私"かどうかなんて全く分からなかったがこの調子でも「いつもと様子が変だ。」とか言われないところを見ると私は本当に運が良かった。
(違っていれば自由に身動き取りにくかったかも。)
少しの笑顔と共に、違って見える帰路を歩き続ける。
"私"の家は、セキュリティがしっかりしていそうな小型マンションの一角だった。小旅行と称した割に合わないほどしっかりしている。
彼は自分の懐からさっと鍵を出すと、ドアを開けた。
(なんだか黒子氏の家みたいだ・・・・。)
またよからぬ妄想でにやりとしている私である。
でも多分鍵を入院中の間預かっておいてくれたのだろう。
「ああ。」と何やら思い出したのか、靴を脱ぎながら彼が話す。