第5章 シンデレラ
ゴーン ゴーン___
しかし、幸せな時間もつかの間。
12時の鐘が鳴り響き、木村の一夜の魔法が解けてしまいます。
「あっ、いけない…!おやすみなさい、王子様」
「ま、待ってください!」
木村は王子から離れ丁寧にお辞儀をすると、急いで大広間を出て行きました。
ですが、慌てた拍子にガラスの靴が階段に引っ掛かって、ガラスの靴が脱げてしまいました。
12時の鐘が鳴り終わるまで、あともう少し。
ガラスの靴を取りに戻る時間がありません。
「おっせーぞ!早く乗れ!!」
木村は待っていた(?)馬車に飛び乗ると、急いで家へ帰りました。
「ハァ…、ハァ……。走るの速すぎです……」
「黒子、お前どんだけ体力ねーんだよ…」
王子は木村を追い掛けましたが、彼女のあまりの足の速さに追い付けませんでした。
少しの距離を走ったぐらいで肩で息をする王子を見て、大臣は呆れています。
「!!あれは……」
王子は木村の落としていったガラスの靴を見付けました。
「僕は、このガラスの靴の持ち主の女性と結婚します!」
「あぁ、あの子ね。良いじゃん!可愛いし!んじゃ、早速明日から俺のホークアイで探してやっか☆」
「……捜すのは高尾君じゃなくて、城の使いの者達なんですが」