第5章 シンデレラ
舞台は変わって、お城の中。
舞踏会の会場の真上にある部屋の中で、大臣と王子様が話していました。
「なあなあ、黒子ォ〜。頼むから舞踏会出てくれって!!」
「嫌です。僕はまだ結婚するつもりはありません」
「まあまあ、そう言わずにさ」
大臣は半ば無理やり王子様を階段まで連れ出し、華やかな大広間を見せます。
「おっ!可愛い子めっちゃいんじゃん!あの子とかどーよ?」
「……僕と高尾君のタイプは違います」
テツヤ王子は高尾大臣の指差す女性を一瞥すると、自室へ戻ろうとしました。
するとそのとき、大広間の扉が開き、とても美しい娘が遅れて入ってきたのです。
「あっ、オイ!ちょっと待てって!また誰か来たみたいだぜ?」
「!!」
テツヤ王子はその美しい木村の姿に目が釘付けになってしまいました。
そして、王子は木村の元へと向かいました。
「あの……」
「………。」
ですが、木村に声を掛けても王子は影が薄いため中々気付いてもらえません。
大臣の高尾はその様子を「ブフォッ!」と吹き出しながら見守ります。
「あの……!」
「キャッ!?だ、誰!?」
「驚かせてすみません。僕は黒子テツヤといいます。良かったら僕と踊っていただけませんか?」
「黒子テツヤって確か王子様の名前……!は、はい!私で良ければ…!」
王子の突然の申し出に驚きつつも、木村は喜んで応えました。
王子はひとときもシンデレラの手を離さず、優しくエスコートし、2人はとても幸せな時間を過ごしました。