第5章 シンデレラ
ある日の事、お城の王子様が妻を選ぶための舞踏会が開かれることになり、木村の義姉達にも招待状が届きました。
「もしかすると王子様のお嫁さんになれるんじゃなーい?俺たち」
「原、“もしかすると”じゃあかん。絶対になるんや」
「王子とやらに興味はねぇが、今より裕福な暮らしが出来るならそれに越したことはねーな」
2人の義姉と継母は性悪な笑みを浮かべながら大はしゃぎです。
「お姉様、お母様!私もどうか連れ行ってはもらえませんか?」
「まあ、そこまで言うなら連れてってやるよ」
義姉の花宮の思わぬ良い返事に、木村はパァっと顔を綻ばせました。
「……なんて、言う訳ねぇだろ。バァカ!」
花宮はべェっと舌を出し、心底馬鹿にしたように木村を嘲笑います。
「お前なんか連れてく訳ないじゃん。頭ん中ババロアでもつまってんの?」
「そーゆーことや。ほな、そろそろ行くで」
3人は高らかなゲス笑いを残して馬車に乗り込み、お城へ向かいました。
舞踏会は招待状を受けた客ならば全員参加できるのですが、木村のボロボロな服では、舞踏会どころかお城に入ることさえ許されません。
綺麗なドレスを持っていない木村はお留守番です。