第4章 オトメン青峰大輝
CASE.8 〜持ち物〜
桐皇学園の一年教室。
青峰と木村はいつものように他愛もない話をしながら過ごしていた。
「さび〜ッ」
「最近急に冷えてきたよね〜」
青峰はハックシュンと1つクシャミをし、木村は自分の両腕をさすりながら寒さを紛らわせる。
「っっ!」
「どうしたの?青峰君」
「さっきのクシャミで唇切っちまった」
そう言って、青峰は自分の唇の端をペロッと舐める。
「あんな大口開けてクシャミするからだよ。あー、ダメダメ舐めちゃ!悪化しちゃう!!そーゆうのは、ちゃんとリップとか塗らないと……って、青峰君が持ってる訳ないか」
「いや、今から塗るところだけど?」
青峰は「リップ持ち歩くなんて常識だろ?」と言った後、リップクリームをこれでもかと塗りたくる。
そして、んーといつまでも上唇と下唇を擦り合わせている。
やたら長ぇな、おい。
「……何か良い匂いする」
木村は青峰がリップを持っていることにも驚いたが、それよりも青峰がリップを塗った後から漂ってくる甘い匂いの方に更に驚いていた。
「あー、これバニラの匂いすんだよ!しかも、ヒアルロン酸、天然トリートメント成分とか色々配合されてっから、保湿性抜群なんだよな!」
青峰は二カッと歯を見せ爽やかに笑う。
「………そ、そうなんだ」
「おう!けど、1番気に入ってんのは色付きなとこだな!」
「女子かっ!!!」
JK(私)よりもJKじゃねーか、と木村は心の中で突っ込むのであった。
8.バニラの匂いがするリップ(しかも色付き)を常に持ち歩いているオトメン青峰大輝