第4章 オトメン青峰大輝
CASE.5 〜ボタン〜
「ほんと桜井君のお弁当っていつも美味しそうだよね」
「あっ、ありがとうございます!」
今木村は、桜井と青峰と桐皇学園の屋上でお昼を食べているところだ。
「ん?おい、良。お前ボタン取れかけてんぞ」
「わぁああ!本当だっ!スイマセンスイマセン」
「何で謝んだよ……」
「青峰君がいちいち怖いからだよ」
木村の言う通り、青峰は桜井のジャケットを掴んでギロリと取れかけているボタンを睨んでいた。
「とりあえず脱げ」
「えっ!?ちょ、青峰さん!?」
青峰は桜井の制服のジャケットを無理矢理脱がす。
そして、青峰は自身のジャケットの内ポケットから徐にソーイングセットを取り出した。
「え?」
「え?」
木村と桜井は目が点になり、暫く喋ることも動くこともなく、ただ唖然と青峰を見つめることしか出来なかった。
その間、彼は器用に針に糸を通し、パパッとボタンをジャケットに縫い合わせていく。
「ほらっ、出来たぞ」
「………。」
桜井はあまりのショックに、青峰に制服を返されても固まったままだった。
「あ、青峰君……。まさかソレいつも持ち歩いてるの……?」
木村は青峰の持つソーイングセットを指差しながら尋ねる。
「あん?当たり前だろ。何があるかわかんねーからな」
「「女子力高ッッ!!」」
木村と桜井が初めてハモった瞬間であった。
5.常にソーイングセットを持ち歩いているオトメン青峰大輝