第2章 ヘンゼルとグレーテル
さつきは鳥籠に閉じ込められた大輝のところへ駆け寄りました。
「だいちゃん!私、ミドリンやっつけたの!助かったんだよ、私達!」
「ヘェ、さつきがあの緑間をねぇ。たまにはやるじゃねーか!」
やっと鳥籠から出る事が出来た大輝は、さつきの頭をクシャクシャと乱暴に撫でながら、彼なりの感謝と喜びをあらわしました。
さて、持ち主のいなくなったお菓子の家の中には、ダイヤモンドや真珠など、たくさんの宝物がしまってありました。
大輝とさつきは、それをポケットに詰め込めるだけ詰め込みました。
そして、2人は何日もかけて、ようやく自分達の家へと帰ったのです。
「テツくぅぅん!カガミーン!ただいまー!!」
「桃井さん!青峰君!!」
「お前ら無事だったのか!?」
「まあな」
大輝とさつきの姿を見て、お父さんとお母さんは泣いて(はいませんが)喜びました。
「悪ぃな…。もうぜってーお前らのこと捨てたりしねーから…っ!!」
お父さんが謝ると、お母さんも続いて言いました。
「桃井さん、青峰君、本当にすみませんでした。今回のことで、僕にとって君達がどれだけ大切か思い知らされました。2人がいれば食べ物がなくてもかまいません。飢えて死ぬときは4人一緒です」
見ると、お父さんもお母さんもすっかり痩せこけていました。
2人とも捨ててきた子ども達の事が悲しくて、あれからひとかけらのパンも喉を通らなかったのです。