第2章 ヘンゼルとグレーテル
緑間は子ども達の寝顔を見ると、フッと笑いました。
「馬鹿め。まんまと騙されたな。久しぶりに旨いものが食べられそうなのだよ」
なんと、緑間は人食いの魔女だったのです。
白い小鳥で子ども達をおびき寄せ、お菓子の家をおとりに待ち伏せていたのです。
朝になると、緑間は大輝を大きな鳥籠に放り込んで、戸に鍵をかけてしまいました。
「何すんだ、テメェ!!」
「青峰、お前は籠の中がお似合いなのだよ」
それからさつきを叩き起こして怒鳴りつけました。
「いつまで寝ているのだよ!さっさと水を汲んで、旨いご馳走を作れ。お前の兄に食べさせて太らせるのだ。こんなに筋肉質じゃ固くて旨くないのだよ」
可哀想に、さつきは兄である大輝を太らせる料理を作らなければならないのです。
……が、
「さつきの料理なんて不味くて食えるかよ!!」
「なっ…!?だいちゃん、ヒドーイ!!」
「ここまで料理の腕が壊滅的な人間は初めてなのだよ……」
結局、大輝を太らせるための料理は緑間自身が作ることになりました。
(何故俺がこんなことをしなければならないのだよ……!!)