第2章 ヘンゼルとグレーテル
すると、家の中から誰かの声がしました。
「誰なのだよ。俺の家をかじっているのは?」
クッキーの戸が開いて、中からとても背の高い緑の髪をした男の人が出てきました。
「キャーー!」
「だ、誰だよ、テメェ!!」
大輝は逃げようとするさつきの腕を掴み、長身の男を見上げながら睨みつけます。
「フン。うるさい餓鬼なのだよ。まあ良い、ちょうど退屈していたところだ。貴様らが俺の家に入ることを許可してやろう」
「あん?何かコイツすっげー上から目線だな」
「だいちゃんがそれ言えないでしょ…。悪い人じゃないみたいだし、ここはこの人の言葉に甘えさせてもらおう?」
2人は長身の男にうながされるまま家の中へ入りました。
「俺は青峰大輝だ。お前は?」
「俺は緑間真太郎なのだよ」
「(なのだよ…?)私は桃井さつき!」
お互いの自己紹介が終わると、緑間は飲み物や果物をたくさん出してくれました。
それに家の中には気持ち良さそうな子ども用のベッドも2つ並べてありました。
「さあ、どんどん食べると良い」
「ミドリン、やっさしいーっ!」
「お前、意外と良い奴だな。最初はただの変人かと思ってたけど」
「……全く失礼な奴らなのだよ。それに、桃井。ミドリンという呼び方は辞めろ」
緑間の言葉なんて既に耳に入っておらず、大輝とさつきは飲むだけ飲んで食べるだけ食べると、ベッドへ潜り込んで寝てしまいました。