第2章 ヘンゼルとグレーテル
次の日も歩き続けましたが、2人は森から出られるどころかどんどん奥へと迷い込んでしまったのです。
「チッ…」
「どうしよう、これじゃ森から出られない…っ」
その時、どこからか綺麗な白い小鳥が飛んできて、2人の前をピヨピヨ鳴きながら、まるで“おいでおいで”としているように尾っぽを振りました。
2人が近づくと、小鳥は少し先へ行って、また“おいでおいで”をします。
「もしかして、私達を呼んでるのかな?」
「ついてってみよーぜ!」
小鳥に導かれてしばらく行くと、そこには小さな家がありました。
小鳥はその小さな家の屋根にとまっていましたが、2人が近づくと姿を消してしまいました。
「あれ、小鳥さん消えちゃった…。それにしても、このおうち何だか甘い匂いがする」
「おい、さつき!!この家、菓子でできてんぞ!!」
「えっ、嘘!?」
驚いたことに、その小さな家は全部がお菓子で出来たお菓子の家だったのです。
屋根の瓦が板チョコで、まわりの壁がカステラで、窓ガラスが氷砂糖で、入り口の戸はクッキーで、どこもかしこもお菓子でした。
「肉が食いてぇところだが、仕方ねぇな」
「だいちゃん、文句言わないの。お菓子が食べられるだけ幸せだよ?」
2人のお腹はペコペコだったので、大輝は屋根の板チョコを剥ぎ取ってムシャムシャと、さつきは窓ガラスの氷砂糖を外してガリガリと食べました。