第2章 ヘンゼルとグレーテル
「バカガミーーッ!!」
「テツくぅぅん!!」
2人は大声で呼んでみましたが、何の返事もありません。
ついにさつきは声を上げて泣き出しました。
「うっ…、うっ…。私達とうとう捨てられちゃったんだ」
「だから、いちいち泣いてんじゃねーよ!大丈夫だっつったろ?とりあえず、月が出るまで待て」
大輝は不器用ながらにさつきを慰めると、空を見上げました。
やがて月が出ると足元が明るくなりました。
すると、どうでしょう。
大輝が落としてきた白い小石が月の光を反射してキラキラと輝き始めたのです。
2人はそれを辿りながら道を歩き、朝になる頃には家へ帰りました。
お父さんもお母さんも2人が帰ってきたのでビックリです。
「青峰君、桃井さん、帰ってきたんですね!」
「お前ら、大丈夫だったか?!」
お父さんとお母さんは2人の子どもを抱きしめました。
2人とも森の中においてきた子どもの事を想って、泣いて(はいませんが)心配していたのです。
でも、食べ物が無い事には変わりありません。
お父さんとお母さんは自分たちの食べ物も子ども達にやりましたが、もう限界です。
「火神君……」
「やっぱり、アイツらを捨てるしかねぇのかよ……っ!?」