第2章 ヘンゼルとグレーテル
次の日の朝、まだ夜が明けきらないうちに、お母さんが子ども達を起こしました。
「青峰君、桃井さん、起きてください。今日は森へ行きますよ」
「テツくぅぅん、オハヨ♡」
「ふぁあ…。まだ、ねみぃんだけど…(オイオイ、さつき…。ソイツは仮にも俺達を捨てようとしてる奴だぞ……)」
大輝はさつきのメロメロ具合に呆れてしまいました。
コイツ、昨日泣いてたんじゃねぇのかよ、と。
「お2人ともおはようございます。はい、これお弁当です」
お母さんはそう言って、小さなパンを1つずつ渡しました。
「悪いんですが、今日の食事はこれだけなんです。だから、食べたくなってもお昼まで我慢してくださいね」
それから、4人はそろって森へ出掛けました。
その途中、大輝は時々立ち止まって自分の家を振り返りました。
そして今来た道を確かめると、目印に昨日拾った白い小石を1つずつ、こっそり落としていったのです。
あんまり度々立ち止まるので、お父さんが不思議に思って尋ねました。
「青峰、さっきから何でそんな立ち止まってんだよ?」
「あん?テメーには関係ねぇだろーが」
「んだと、テメェ…!!」
大輝の反抗的な言動に腹を立て、お父さんが怒ってしまいました。
「火神君、落ち着いてください」
「だいちゃんも駄目でしょー?カガミンにそんな態度とったら」
そんなお父さんをお母さんが宥め、口の悪い大輝をさつきが注意するのはいつものことです。