第2章 ヘンゼルとグレーテル
「じゃあ、このまま4人とも死にますか?僕は嫌です。このまま死ぬのを待つなんて」
「っ……」
悲しいお話ですが、この時代にはよくこんな事がありました。
食べ物がないために子どもを殺したり、僅かなお金で子どもを人買いに売ったりする親もいましたから、この両親はまだマシな方かもしれません。
さて、この2人の話を、隣の部屋の子ども達はちゃっかり聞いていました。
普通ならとっくに寝ている時間ですが、なにしろお腹がペコペコだったので、寝るに寝られなかったのです。
両親の話を聞いていた妹のさつきは、悲しくてシクシクと泣き出してしまいました。
「だいちゃん、どうしよう……っ。私達捨てられちゃう……っ」
「うっせーぞ、さつき!ピーピーピーピー泣いてんじゃねーよ」
兄の大輝は口は悪いですが、本当は妹想いの優しいお兄さんです。
そして、さつきを慰めるように頭を乱暴にクシャクシャに撫でた後、何かを思い付いたように言いました。
「良い方法がある!これで火神達に捨てられても、家に帰ってこれるぜ?」
「ほんと…?」
大輝は「おう!」とニヤリと笑い、窓から外へ抜け出して、道に落ちている白い小石を集めした。