第2章 ヘンゼルとグレーテル
むかしむかし、ある森のはずれに、貧乏な木こりが奥さんや2人の子どもたちと暮らしていました。
子どもの1人は男の子で名前を大輝といい、もう1人は女の子でさつきといいます。
ある年の事、夏だというのにひどい寒さがやってきて、畑の作物がすっかり枯れてしまいました。
ただでさえ貧乏な木こりは、その日に食べるパンもろくにありません。
お腹が空き過ぎて眠れずにいると、奥さんが小声で話しかけてきました。
「火神君。このままでは親子4人、共倒れですよ」
「だろーな…。けど、どーすりゃいんだよ…」
「あの…、ここは思い切って子ども達を手放してみてはどうでしょうか? あの子達の運命は神様に任せましょう」
「はぁ!?何言ってんだよ、黒子!!」
「シーッ。子ども達が起きちゃいます」
奥さんは隣の部屋で寝ている子ども達を気にしながら、耳元で囁くように言いました。
「だって、このままじゃ全員飢え死にですよ? だから、子ども達を遠い森に連れ出して、置いてけぼりにするんです。そうすれば、運が良ければ僕達も子ども達も助かります」
「それはそうかもしんねぇけどよ…。俺にはアイツらを捨てるなんてできねぇよ!!」
木こりは奥さんに必死で訴えます。