第1章 Trick or Treat?
「まあ、良いけどな。そのカッコ別に嫌いじゃねーし?それより、トリックオアトリート!」
「えっ、それ私のセリフ……!」
「言ったモン勝ちだろ?」
大輝はニヤリと不敵に笑う。
コイツはどんだけお菓子が欲しいんだ。
仕方ない、大輝にも分けてあげるか…と思い、私がお菓子の入っている袋をガサゴソと漁っていると…。
「俺は菓子なんざいらねーよ。だから、お前に悪戯させろ」
「なっ…!!」
大輝はジリジリと迫ってきて、私を壁の方へ追い詰める。
そして、お互いの息がかかるまで顔が近付いた瞬間
「青峰君、さっきの木村ちゃんだったー?…って、ちょっと何やってんの!!この真っ黒エロ助!!!」
「痛ぇっ!!何すんだ、さつきィ!!」
奥の部屋からさつきが現れて、大輝を思いっきり引っ叩いた。
どうやら大輝の家に遊びに来ていたらしい。
さつきに先越されちゃった、と構えていた拳を私はソッとしまう。
「もう、ほんとごめんね〜?青峰君が。それより木村ちゃんのそのカッコ、すっごく可愛い♡ 天使様だね!」
いやいや、さつきの方がめちゃめちゃ可愛いよ。
ナースのコスプレなんて、アンタがほんとに白衣の天使様だよ。
「可愛いのも天使なのもアンタだよ、さつきィィ!!」
興奮して叫んでいる私を、さつきは不思議そうに、大輝は汚いものでも見るかのような目で見る。
(危ない、また我を忘れるところだった)