第1章 Trick or Treat?
ピンポーン___
インターフォンを鳴らして暫く、ガチャというドアが開く音と共に、怒号が飛んできた。
「お前くんの、おせーよ!」
「ごめんって!でも仕方ないじゃん。そんなに怒らないでよ」
確かに大輝は大人しく待ってるタイプじゃないもんね、と苦笑する。
「大輝は狼男のコスプレなんだね!」
「あん?まーな…。さつきがコレが良いと思うって、うっせーからよ…。ハァ、まじこーゆーのダリィんだけど」
大輝は不機嫌そうな顔をして頭をガシガシと掻く。
いやー、それにしても似合い過ぎでしょ。
大輝より狼男が似合う男なんていないんじゃない?と思ってしまうぐらい、よく似合ってる。
このワイルドな感じと、犬耳とフサフサの尻尾、それに黒い肌…。
あ、黒いのは元からだった。
「似合ってるよ?すごく」
「こんなもん褒められたって別に嬉しくねーし。つーか、お前の仮装はなんなんだよ?ソレ」
「えーっと…、一応天使なんだけど……」
私は何だか気まずくて、しどろもどろに答える。
(自分から言うのって恥ずかしいな…)
「プッ!お前が天使って!!ギャハハハ!キャラじゃねー!!ウケる!」
「ちょ、ちょっと!!笑いすぎ!!私だってキャラじゃないことぐらい分かってるっつーの!!」
ゲラゲラとお腹を抱えて笑う大輝に、私は怒りよりも恥ずかしさの方が勝ってしまう。
いや、だってほんとに大輝の言う通りだし。