第1章 Trick or Treat?
「フェアリー…。フェアリーだよ!!敦は!!絶対!!」
「ちょっと〜、ゆかちん何いきなりテンション上がっちゃってんの?うるさいんだけど〜。しかも言ってること意味不明だし」
「あぁ、ごめんごめん。しばし我を忘れてたわ」
敦のあまりの可愛さに我を忘れて興奮していたらしく、敦にウザがられてしまった。
「それよりさ〜、ゆかちん何か忘れてない?俺の家に何しに来たの〜?」
「あっ、そうだった!……では、ゴホンッ!」
私は1つ咳払いをして〝トリックオアトリート〟と、敦に告げた。
すると、敦はのそのそと家の奥へ入っていき、たくさんのまいう棒を手に抱えて私の方へ戻ってきた。
「本当はあげたくないけど、ゆかちんはいっつもお菓子わけてくれるから、そのお返し〜」
「ありがとうっ!」
「………いいなぁ〜。ゆかちん、いっぱいお菓子もらってる〜…」
敦は人差し指を咥え今にも涎が出そうなぐらいの勢いで、私のお菓子がたくさん入っている袋をジーッとガン見している。
「クスッ。しょうがないなぁ〜。敦にもちょっとだけ分けてあげる」
「わぁ〜い!ゆかちん、ありがとー!」
3人には悪いけど、きっと許してくれるだろう。
私が3人からもらったお菓子を少しずつ分けてあげると、敦の顔はパァァと輝いた。
「フフッ。それじゃあ、私もう行くね」
「はぁ〜い。またね〜」
それから「ハッピーハロウィン♪」と言って、次のチームメイトの家へと向かった。