第1章 第一章
「いっ…た…」
「痛い?我慢してね」
私はスレインの頬を消毒して絆創膏を貼る。
「クルーテオ伯爵でしょう?あの人のパワハラぶりは知ってるわ」
「なぜ…」
「私、見てきたから。あなたがパワハラ受ける姿を、影から見てきたから…」
「なまえ姫…」
「明日、いよいよアセイラム姫が地球に行くのね…第二王女の私は何もしない…お祖父様はきっと呆れているわ」
「いいえ」
スレインが私の手を取った。
「あなたは居てくださるだけで…それだけで…」
「…その言葉、アセイラム姫に言わなくていいの?」
知ってる。
スレインはアセイラム姫の事…。
「僕が…好きなのは…なまえ姫ですから」
「え?」
「な、なんでもないです!失礼します!」
スレインは医務室から去って行った。
スレイン…。
私の事が好きなの?