第1章 師団長と団長
「今日だけだ。」
「えっと…何がでしょう?」
普段からナイルをからかっているのは聞いている。
きっと私もその対象なのだろう。
そう思い、
出来るだけ平静を装って問いかけた。
「君が欲しい。」
「エルヴィンさんも飲み過ぎました?」
きっとそのせいだ。
いくら酒に強いとはいえ、
どんな人にも限界はあるはず。
「いや、君に始めて会った時から、
俺はリオを
自分のものにしたいと思っていたよ。
まさかナイルに取られるとは
油断していたがね。」
ナイルには到底言えない
歯の浮くような台詞に、
条件反射のように
心臓が高鳴る。
これはもう致し方がないことだ。