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あなたへの月【T&B】

第2章 I'm home!





「それじゃあ姉さん、その……」
「?」
 気を取り直したのか、仕切り直しということなのか、バーナビーがもごもごと言いづらそうに口を開く。
 言いたいことがわからなくて首をかしげると、彼は一度深呼吸をしてから、意を決したように続きを紡ぐ。

「――おかえりなさい」
「!」

 薄く染まる頬、はにかんだ笑みが、急に愛おしく感じられた。
 そっか、わたし、ここに“帰ってきて”、いいんだ。
 理解した瞬間、わたしも彼と同じような表情で、答えた。

「ただいま、バーナビー!」

 ……これが、わたしのはじまり。
 なにも持たないわたしが様々な友人知人、思い出、記憶、そうしたものを得ていく物語の、最初の一歩なのだった。



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