第3章 及川 徹
―岩泉side―
及川になんなこと言って良かったんだろうか?「近付くな」って
確かに叔父さん叔母さんからは知らない男の人を近付けないように言われてた。
俺も当初避けられてた。
なのはは男性恐怖症だ。
小学1年のころ変な男に捕まって怖い体験をしたらしい。その日を境に俺との交流も途絶えた。一緒の空間にいることはあっても距離は離れていた。
なのはは俺がやり始めたバレーを見ていたからか突如男性恐怖症を克服してバレーをすると言い出してきた。
バレーは女子のチームがあったからそこに入ったのはいいが、コーチが男だった。
それが発覚して以来度々俺ん家に『男慣れするんだ!一ちゃんバレー教えて!!』そう言った。
それを続けて1年。
俺と俺の親父。叔父さんにバレーのコーチにはなんとか慣れるようになった。まだ少し避けられてる感じはしたけど、それは知らね。
俺も中学に上がってからは部活とかで帰りが少し遅くなって相手してやる機会が減った。でも少しでも時間が空けば克服するために一緒に練習。
なのはが中学に上がるとき、困った。
近くの中学に行けばいいのに俺と居ると安心だ。とか言って北川第一に進学。
まぁそのおかげで心配しても近くにいるからすぐ駆けつけられる。
俺はその時誓った。なのはの病気が治るまでは俺が守ってやろう。近づいてくる男は俺が追い払ってやろうって・・・。
だからあの及川も近付ける訳には行かないんだ。