第2章 Chapter 1
ガラッ
ドアを開けると生徒たちは、一斉に教卓の方を向いた。
「今日からここで特別講師をすることになりました、アンベルと申します」
そう簡単な挨拶をして、アンベルは教室全体を見渡した。
そこで一人の生徒が目についた。
教卓の真ん前
自分の正面にいる女子生徒。
室内なのにベレー帽を被り、右目を眼帯で覆っている少女。
それだけなら特に気にも止めなかっただろう。
ディファクターには特殊な力を持ったものたちも多くいる。
それゆえに、多少変わった外見をしていても、別段驚くことでは無い。
問題は少女の態度。
女子生徒はもちろん、男子生徒でさえ
興味しんしんといったようにアンベルをみるにも関わらず
この少女は教室のドアが開いた瞬間にチラリと視線を寄せただけで、それ以降はずっと顔を伏せている。
(女性に無視されたのは初めてですね)
少し、少女に関心が沸いた。
「それでは順番に自己紹介してもらいますか」
そう言うと、少女の肩が僅かに跳ねたのをアンベルは見逃さなかった。
生徒たちがそれぞれ面白おかしく自己紹介をしていく中、
少女は腰を重そうにあげ、
「……リヴァ……スターラー、です」
それだけ言ってまた椅子に腰を沈めた。
なんとも素っ気ない自己紹介。
それでも
(リヴァ・スターラーね)
アンベルには一番印象深く残った。