第2章 Chapter 1
しかし、アンベルの予感とは裏腹に
校内にはのどかな雰囲気が漂っていた。
(気のせい………だったのでしょうか?)
ふと顔をあげると、アンベルは女子生徒たちの視線が自分に向けられていることに気づいた。
長い茶髪の髪を一本にまとめ、肩のほうへ流し
中性的な顔立ちだが立派な男。
昔から、女性にモテているのは自覚があった。
女子生徒たちの熱い視線を浴びながら、
(これじゃあ、普通の学校と変わりませんね)
と、心の中で苦笑した。
たとえ未来のディファクターといえど、恋する気持ちは女子共通らしい。
(これからもそんな甘い気持ちだと困るのだけれど)
「……アンベルさん?どうかしました?」
どうやら既に目的地に着いていたらしい。
「……いえ、案内ありがとうございます」
そう言って微笑みかけると、男の校長が微かに頬を染め上げた。
中性的なアンベルの笑みは、男にも通用する。
(養成学校の校長がこんなんで、どうするんでしょう)
内心嘲笑いながらも決して顔には出さない。
そういう人間だということは、アンベル自身がよく知っていた。
案内されたのはとある教室。
プレートにはⅡ-C と書いてある。
「ここが今日からアンベル先生に勤務していただく、二年C組になります。一人問題児もいますが、みんないい子ですよ!」
問題児………
そんなクラスを教師経験の無い者に任せる学校の方針は理解が出来ない。
が、
「お任せください。問題児だろうと、立派なディファクターにしてみせますよ」
一度任された任務は必ず完璧に達成する。
それがアンベルのモットーだった。